病院機能評価事業は、病院の医療機能を学術的観点から中立的な立場で評価し、その結果明らかとなった課題の改善を支援する事業です。
日本医療機能評価機構は、倫理と自立性を重んじ、中立的・科学的な立場で医療の質・安全の向上と信頼できる医療の確保に関する事業を行い、国民の健康と福祉の向上に寄与することを理念としています。病院機能評価事業においても、もって国民が安心して安全な医療を受けることのできる体制の構築を目的としています。
病院機能評価は、医療環境の変化や受審病院のニーズに応じて、常に評価項目や評価手法を見直し、開発し、運用を続けてきました。
2013(平成25)年4月には、新たな評価体系(3rdG.)の運用を開始し、病院の役割や機能に応じた評価項目を設定し、診療・ケアにおけるプロセスを重視するとともに、病院と評価調査者(サーベイヤー)との双方向性を強化した評価を行っています。
さらに、病院の継続的な質改善活動の促進を支援するため、それぞれの医療施設で活躍できる人材の養成についても事業体制を強化しています。
評価機構は、これまで主として「評価」を通じて、病院における質改善活動を支援してきました。
しかしながら、医療を取り巻く環境は常に変化しており、今後予想される医療政策の展開や社会経済的な変化、医療の国際化等、今後の医療界における変化に対して、医療機能評価も対応が求められています。
そこで、評価機構の創立20周年を機に、より一層、病院機能評価事業を充実させる必要があるとの問題意識から、「次世代医療機能評価のビジョン」として取り纏めました。
評価機構は、「医療機能評価を通じて、患者が安心して医療を享受でき、職員が働きやすく、地域に信頼される病院づくりに貢献する」という次世代医療機能評価のビジョンを策定しました。
そして、ビジョン達成に向けて
(1)地域医療の質向上に寄与するための評価
(2)医療の質改善を促進させるための組織への支援
(3)医療の質改善を促進させるための個への教育
以上の3本を柱として、総合的に医療機能の評価等に関する事業を推進しています。
病院の自主的で継続した質改善活動の支援を強化するために、現行の病院機能評価を次のような施策により発展させ、病院における医療の質向上を図ります。
また、今後予想される医療政策の展開や社会経済的な変化に応じ、地域の医療提供施設と病院の連携を重視した新たな評価についても積極的に展開していきます。
病院の質改善活動は継続的に行われる必要があるが、評価という一時点の関わりのみでは、活動の動機付けは行えても、それを継続させるには限界があります。
今後は、病院機能評価に加えて、受審を控えた病院だけでなく、認定病院やその他の医療機関に対しても、継続した質改善活動を促進させることが可能となるよう、支援サービスを提供していきます。
医療の質改善を促進させるためには、組織全体への支援のみならず、その組織に所属する個人が、それぞれの環境や立場に応じて能力を発揮できるような教育が必要です。
そのため、現在機構で行っている医療の質に関する教育プログラムを整理し、個人が必要に応じて適切な教育プログラムを選択できるよう体系化します。さらに、それらの学習の機会が継続できるような方法、環境を整備します。