病院機能評価事業 公益財団法人日本医療機能評価機構

Practica

Practica「知る」Vol.3を発行しました

【掲載日】2017年02月24日(金)

発行日 2017年02月発行
Practica「知る」Vol.3

 Practica「知る」Vol.3では、「医療安全」をテーマとした改善事例を紹介します。

 報告いただいた病院の種別や役割は様々ですが、具体的な事例には、皆様の病院でも実践できるヒントがあるかもしれません。ぜひ参考にしてください。

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※ Practica「考える」では、評価項目の考え方のヒントを紹介します。併せてご活用ください。

※ 本冊子の情報は、認定の判定基準を示すものではありません。

※ 一部表記を「病院機能評価 機能種別版評価項目<3rdG:Ver.1.1> 解説集」に則り、趣旨を損ねない範囲で改変させていただいております。

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事例1:「医療安全の声」の収集

【受審時の機能種別】

 一般病院1(20~99床)

【提出部署/委員会】

 看護部/医療安全部

【活動の背景・きっかけ】

 2014年BSC医療安全の活動目標の中で、医療安全向上を図る仕組みとして新たに導入した、危険予知の活動。

<目的および意義>
 当院の医療安全に関する基本方針に鑑み、医療事故発生のリスク回避を目的とし、職員の医療安全に対する参画意識の向上により、更なる患者さんの安全確保を図る。危険を予測し、予見した事故を未然に防ぐことで、重大事故の発生を回避する。

【活動の内容・成果】

<対象>
 当院に従事するすべての職員

<活動内容>
(1)BSC発表会や、各部署の医療安全委員を通じて、「医療安全の声」を募集する事を周知した。
(2)挙げられた「医療安全の声」を、医療安全部カンファレンスにて議論し、適宜、医療サービス対応事務局・感染委員会・医療安全委員会・経営管理部等へ、報告・検討を依頼し、改善を図った。
(3)改善対策が実施されているか、医療安全管理ラウンドで確認を行った。
(4)2014年6月より導入し、10ヶ月で8件の声が寄せられ、以下のような改善対策が実施された。
 ①当院屋上は、防災上避難場所になっているため施錠できないので、立ち入る患者さんがいる。→ 医療サービス対応事務局で検討し、「屋上立ち入り禁止のお願い」という掲示看板が設置された。
 ②内視鏡検査時に、落とせないマニキュアをつけて来る方が増えたが、状態変化の観察に支障がある。→事務部へ依頼し、検査準備表に、「緊急時に対応できない危険があるため、マニキュア等は、必ずはずして来院」という注意喚起の文章を追加した。

【工夫・アピールポイント】

 当該「医療安全の声」のポイントは、事故が起きてから改善するのではなく、職員が危険を予知した段階で声として通報し、事故を未然に防ぐことにある。危険予知活動の一つ。改善結果は、食堂に掲示する事で、周知を図った。

【今後の課題】

 各部署の医療安全活動等を通じて、さらに多くの声を収集し、改善していく。

 (提出月:2015年5月)

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事例2:病棟内コアチーム結成による転倒対策強化

【受審時の機能種別】

 リハビリテーション病院(200床以上)

【提出部署/委員会】

 リハビリテーション部

【活動の背景・きっかけ】

 急性期治療の短縮化に伴い、近年の回復期リハビリテーション病棟では身体状況としての不安定さとリハビリテーションによる活動量向上により、転倒はインシデント件数で最も多い。
 転倒は外傷による一時的なリハビリテーション中断や恐怖心など転帰への直接・間接的な悪影響を及ぼしうるため、回復期リハビリテーション病棟の使命である機能向上や社会参加を妨げないよう、過剰な対策で受診者に不利益のないかたちで転倒予防を図ることが重要である。
 従来、主担当者を中心にリスク評価や対策を講じ病棟スタッフに周知するかたちで転倒対策は積極的に行ってきたが、さらに転倒軽減を目指すため、病棟内に転倒対策コアチームを結成し、多角的・多視点での重層的な取り組みを試みた。

【活動の内容・成果】

<構成要員>
 看護師、セラピスト(理学療法士/作業療法士)

<活動内容>
(1)業務時間内の病室ラウンドを実施(毎週金曜日)
 各回、転倒リスクの高いケースを数例ピックアップし、転倒原因や身体リスク分析をした後、環境設定を主目的とした病室ラウンドを行った。
オリジナルのラウンドチャートを作成し、環境整備の概要はフローチャート形式でマニュアル化、それ以外の個々のセンサー類の設定、室内レイアウトの変更は個人要素に応じて調整した。また、ラウンドではベッドサイドのピクトグラムが現状を反映して適宜変更されているか確認した。
これらラウンド結果はすみやかに主担当者と共有・協議のうえ、環境設定に反映した。
(2)コアチームメンバーが企画構成した病棟勉強会の実施
 例)ピクトグラムについて。1枚の病室写真からみる危険予知のグループワークなど
(3)転倒新聞の作成
 コアチーム活動の周知と意識付けのため、転倒の傾向と対策を載せた転倒新聞を毎月作成し、病棟スタッフ全員に注意喚起と情報共有を図った。
(4)病棟発表会の実施
 コアチームの活動成果を、年度末のカンファレンス枠を利用して病棟発表会を行った。

<成果>
 この取り組みを始め、2013年度の転倒件数は前年度より減少(55件⇒44件)、特に減少分は病室内転倒であり、病室ラウンドによる集中的な介入効果がみられた。病棟スタッフの転倒予防への意識付けが定着した印象を受けた。2014年度は、上記行動が定着したこともあって転倒件数自体は頭打ちの見込みだが、転倒好発の時間帯や、病室外での転倒など、さらに集中介入するターゲットを検討するため、要素分析を強化している。

【工夫・アピールポイント】

(1)主に若手が担う専従セラピストに役割を持たせ、主体的に動く支援や、スタッフ教育の機会によって自らの知識の整理や成長に繋げられるよう工夫した。
(2)当院では、1受診者に各セラピスト1名ずつの担当制でその責任力を育む方針だが、病棟のコアチーム結成で、担当者とはまた異なった視点で問題点を抽出したり、新しい発見ができたりと、より密なフォロー体制ができると考えた。

【今後の課題】

 転倒対策の手段や質のスタッフ個人差や、転倒対策後の定期的な再評価、数や種類の限られたセンサー類など転倒予防機器の有効な利用方法などは今後の課題と感じている。
 転倒対策の標準化、転倒予防機器の一元管理(車いすや歩行器の一元管理システムはすでに構築済み)、転倒対策の迅速な見直しとその反映など、システム作りを行っていきたい。

 (提出月:2015年5月)

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事例3:病棟で使用するインスリンバイアル製剤の種類の限定について

【受審時の機能種別】

 一般病院2(500床以上)

【提出部署/委員会】

 (記載無し)

【活動の背景・きっかけ】

 平成25年4月に受審した病院機能評価において、個人処方されていないインスリン製剤が複数病棟に配置されていることに対して、取り違え防止の観点から可能な限り病棟に配置するインスリン製剤の種類を少なくするよう指摘を受けたため、その改善をしたもの。

【活動の内容・成果】

 リスクマネージャー会議にて、病院機能評価の指摘事項について注意喚起を行い、内分泌糖尿病内科医師と薬剤部を中心にその対応を検討した。
 その後、インスリン製剤の種類を統一することについてアンケートを実施し、従来の4種類(持効型、中間型、速効型、超速効型)から、2種類(速効型、超速効型)に限定することとし、薬事委員会の承認を経て採用医薬品を削減した。また、中間型および持効型インスリンについては、個人ごとにペン型を処方して使用することとした。(2014年4月から実施)

【工夫・アピールポイント】

(1)医療安全全国共同行動推進活動における、“危険薬誤投与防止”の一環として改善に取り組んだ。
(2)採用する医薬品の変更に伴い調達費用が増加するが、医療安全上のメリットを優先して採用医薬品を変更した。

 (提出月:2015年5月)

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事例4:院内BLS研修、急変時の対応研修

【受審時の機能種別】

 一般病院2(500床以上) 

【提出部署/委員会】

 救急医療部

【活動の背景・きっかけ】

 以前から全職員に対するBLS研修の必要性を感じていたが、現状は新人看護職員および事務職を含む全職員のうち、希望者に対してのみの実施となっていた。しかし、平成26年度の看護部の重点目標の中に「医療事故防止対策の徹底」とあり、その具体的目標として「急変時の対応ができる」とあったことを受け、全看護職員に対するBLSの研修を行うことを計画・実施することができた。

【活動の内容・成果】

<活動期間>
 新人看護師BLS研修   平成26年4月~5月
 各部署コアメンバー育成  平成26年7月~10月
 各部署のBLS研修    平成26年9月~翌3月

<予算の確保>
 小児用の研修人形の購入

<活動内容>
 各部署からコアメンバーになるメンバーを選出してもらい、コアメンバーに対し、BLSおよびインストラクター研修を実施した。その後、各部署でコアメンバーが中心となりBLS研修を開催することで、全看護職員に対するBLS研修を実施した。
 急変時の対応シミュレーションについては、各部署が計画立案し、救急認定看護師および救急医療部看護師が協力し実施した。実施部署は放射線科、リハビリテーション科、その他2病棟である。

【工夫・アピールポイント】 

(1)全看護職員にBLSを実施するに当たり、各部署のコアメンバーを育成したこと。
(2)コアメンバーを育成したことで、各部署が主体的に研修に取り組むことができた。
(3)BLSの研修の中に緊急コード発生時の訓練を組み込んでいる。

【今後の課題】

(1)看護職に関しては、コアメンバーを中心に今後も年1回以上は各部署でBLS研修を実施していく予定である。
(2)平成27年度は、事務職、委託職員に対するBLS研修を実施する予定であるが、方法および対象は今後の検討課題である。
(3)平成26年1月から院内緊急コードの発生記録をしているが、検証方法については今後の課題となっている。

 (提出月:2015年5月)

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事例5:救急蘇生トレーニングチームの結成と活動

【受審時の機能種別】

 リハビリテーション病院(200床以上)

【提出部署/委員会】

 歯科診療部/医療安全委員会

【活動の背景・きっかけ】

 以前から職員に対する救急蘇生法の訓練は行なわれていたが、そのレベルには部署間で差があり、統一性が取られていなかった。

【活動の内容・成果】

 2013年6月にBLS受講経験のある職員が中心となって院内全体勉強会において救急蘇生法のトレーニングの重要性をアピールし、8月から多職種(医師、歯科医師、看護師、臨床工学技士、放射線技師、理学療法士、作業療法士)10数名が集まって会合を重ね、病院の理解も得られて機材購入やインストラクター養成に必要な予算も確保することができた。その後、説明用の動画編集とシナリオ作成を行ない、10月から2時間コースの一次救命法の講習会を開始した。以後、おおよそ月に1度のペースで講習会を開催し、2015年2月には合計134名に対してトレーニングを実施することができた。受講生には看護師など医療職だけでなく、事務職員など普段は救急蘇生に馴染みの無い職員も含まれており、単に救急蘇生のスキルアップだけでなく医療従事者としての意識向上にもつなげることができた。

【工夫・アピールポイント】

 一般的にBLSの講習会では5時間程度かけて成人、小児、乳児に対する救急蘇生、窒息の解除の訓練が行なわれるが、当院では受講生やインストラクターの負担を考慮して内容を成人に対する救急蘇生に限定し、講習時間も2時間に短縮してこの活動を継続しやすいようにした。トレーニングチームのメンバーも受講生も多職種から構成するようにしたため、病院全体の活動にすることができた。

【今後の課題】

 チームメンバーも増加しつつあるので、チーム数を増やして講習会をさらに多く開催し、当院の職員約700名すべてに対してトレーニングを行ないたい。

 (提出月:2015年5月)

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 Practica「知る」Vol.4 では、引き続き「医療安全」をテーマに改善事例を紹介します。

 今後、Practicaにて取り上げてほしいテーマや内容がございましたら、評価事業推進部 病院支援課(jushin@jcqhc.or.jp)までご連絡ください。

Practica「知る」Vol.3


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