病院機能評価事業 公益財団法人日本医療機能評価機構

Practica

Practica「知る」Vol.2を発行しました

【掲載日】2017年01月30日(月)

発行日 2017年01月発行
Practica「知る」Vol.2

 Practica「知る」Vol.2では、「医療の質」をテーマとした改善事例を紹介します。

 報告いただいた病院の種別や役割は様々ですが、具体的な事例には、皆様の病院でも実践できるヒントがあるかもしれません。ぜひ参考にしてください。

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※ Practica「考える」では、評価項目の考え方のヒントを紹介します。併せてご活用ください。

※ 本冊子の情報は、認定の判定基準を示すものではありません。

※ 一部表記を「病院機能評価 機能種別版評価項目<3rdG:Ver.1.1> 解説集」に則り、趣旨を損ねない範囲で改変させていただいております。


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事例1:看護診断立案までのアセスメント、計画についての看護記録の充実

【受審時の機能種別】

 一般病院2(500床以上) 

【提出部署/委員会】

 看護部記録委員会

【活動の背景・きっかけ】

 精神面、社会的側面の情報、アセスメント、支援についてカルテに記載されていなかった

【活動の内容・成果】

 入院時の「患者プロフィール記入シート」に、得られた情報から、アセスメント、看護計画が導き出せるよう、情報をカテゴリー化し、「情報から考えられる看護診断」を追加した。
 入院時の定型文を作成し、全看護師に周知した。平成26年1月に定型文を使用し、記入されているかを監査、平成26年10月に質的監査を含め調査した。
 形式的に記入されているものは、1月には51%であったが、10月には100%であった。

【工夫・アピールポイント】

 必要な情報を収集し、そこからのアセスメントについて記録ができるよう、プロフィールシートや定型文を考案した。

【今後の課題】

 アセスメントと計画が合っていないなど、質的な面で不充分な点もあり、病棟での定期的なカンファレンスの場を増やすなど、検討していく必要がある。

 (提出月:2015年5月)

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事例2:神経筋疾患の呼吸リハビリテーション

【受審時の機能種別】

 リハビリテーション病院(200床以上) 

【提出部署/委員会】

 病院機能評価委員会

【活動の背景・きっかけ】

(1)筋神経疾患の呼吸リハビリテーションを先進的に行っている病院での研修後、当院でも充実させ質向上を図る必要性があった
(2)呼吸器管理患者の増加に伴うチーム医療・ケアの質向上
(3)医療機器・医療材料管理の必要性が高くなった

【活動の内容・成果】

 神経筋疾患・脊髄損傷の呼吸リハビリテーションガイドライン(2014年6月金原出版、監修:日本リハビリテーション医学会)に基づき、肺コンプライアンスの維持、舌咽呼吸、肺拡張、気道クリアランス向上等の呼吸リハビリテーション介入の質向上を図っている。

【工夫・アピールポイント】 

(1)呼吸リハビリテーションの充実
 ①IPVの導入、カフアシストの導入
 ②リハビリテーションスタッフによる喀痰吸引
 ③リハビリテーションスタッフによる救急蘇生バック操作講習

(2)人工呼吸器台数増加に伴う対策
 ①チームケアの質向上
 ②リハビリテーションスタッフの食事介助参入
 ③病棟カンファレンスの充実
 ④人工呼吸器ケア統一カードの工夫と導入
 ⑤入浴用人工呼吸器パラパック導入

(3)職員教育
 ①先進病院との連携
  職員の知識・技術・モチベーション等の向上を目的に、筋ジストロフィー症患者の専門病院から医師や看護師、療法士を招聘し、臨床指導や教育講演、意見交換等を継続して行っている。また、当方から先方へ多職種の職員を長期派遣し、研修を受けている。
 ②臨床研究
  臨床研究を推奨し、学会発表等を積極的に行っている。

【今後の課題】

(1)個々の患者に応じた最善の呼吸リハビリテーションの介入
(2)新しいテクノロジーの積極的な導入
(3)職員教育、研修システムの充実
(4)専門医の確保

 (提出月:2015年5月)

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事例3:輸液に関わる知識・環境を向上し、患者さんに安全で正確な輸液を提供しよう

【受審時の機能種別】

 一般病院2(200床~499床) 

【提出部署/委員会】

 臨床工学科

【活動の背景・きっかけ】

 私たち臨床工学科では、患者の治療を円滑に行うために医療機器が常に正常な動作をするよう保守管理に努めています。当院で最も多い医療機器は輸液ポンプで、さまざまな輸液治療に使用されていますが、滴下制御の輸液ポンプでは薬剤の性状により流量誤差が多く出てしまうものがあります。過去には薬剤の性状により、終了予定時刻と6時間の誤差が生じたという事例もありました。これでは患者の治療に支障をきたし、大きな影響を与えると共に、現場スタッフへのストレスにもなり病院の不利益につながります。そこで、臨床工学技士・医師・看護師・薬剤師・総務で組織横断的なTQM活動チーム『世紀末輸液救世主伝説 点シロウ』を結成し、『輸液の件(拳)~点滴(天敵)よ!お前はすでに済んでいる~』をテーマに掲げ、輸液ポンプを使用した場合の不具合を調査し、輸液治療の質向上に取り組むことにしました。

【活動の内容・成果】

 まず現状調査を内科系・外科系の全2病棟で1週間実施、調査期間中に2病棟で施注された輸液件数は621件あり、流量調整やアラームが頻回に発生したという問題発生件数は135件(21.7%)と実に5件に1件以上何らかのトラブルが発生していた。特に、『患者さんよりアラームがうるさいから何とかして欲しいという訴え』が48件(35.6%)と『終了時刻になっても予定通り施注されなかった』が42件(31.1%)と非常に多く、異常件数全体の約三分の二を占めている状況であった。輸液施行中の患者さんは『時間予定通りに入ること』や『輸液が早く終了して欲しい』と思うことではなく、警報発生による不安や不快感を気にかけていることが受け取れた。
 トラブル減少目標を50%減とし、対策として以下の5項目の活動を実施した。

(1)滴下数制御ではなく回転数制御の輸液ポンプと輸液セットを導入し、薬液の性状の影響を受けずポンプ自体の精度を上げることで正確な輸液を施行する。
(2)輸液に関する知識向上の為、輸液ポンプの使用説明だけでなく、薬剤師に協力依頼し、薬液の特性に関しての内容も盛り込んだ勉強会を開催した。
(3)輸液時の説明を漏れなく行なうため、輸液実施時の患者説明内容の統一を目的に、フォーマットを作成した。
(4)強制圧をかける輸液ポンプを使用できない化学療法の注入誤差の発生を予防するため、当院使用薬剤毎の補正表の作成を行った。
(5)化学療法時の患者の安全を第一に考えたポンプ使用をするため、化学療法の薬液に合わせたドリップアイ(滴下制御装置)適正使用のルールを院内決定事項として化学療法委員会を通じて院内全体に周知した。

 成果の確認は、現状調査と同じ条件で調査を実施した。患者からの訴え48件が0件となり、予定通りの時間に施注が行えなかった42件が14件。トータルの問題発生件数でも135件が14件に減少、90%近い改善数となった。

 【工夫・アピールポイント】

 当院では、専門家の指導を受け、毎年各部門がTQM活動として組織横断的な質の改善活動を実施し、年度末にはその成果を発表しています。
 今回も、我々臨床工学技士の輸液精度を上げる対策にとどまらず、医師は化学療法のルールの設定、看護師は患者説明と現状調査、薬剤師は薬液の性状調査、総務は輸液セットや輸液ポンプなどの医療材料や医療機器のコストダウンに、全ての職員が『輸液治療の質向上』という一つのテーマに協力し合い、各々の得意分野で力を発揮したことで達成できた活動だったと考えています。

【今後の課題】

 対策実施時の回転数制御対応の輸液セットはデモであったため、現在本格切替えに移行中です。輸液セットの切り替えが完了したら輸液ポンプを回転数制御へと切り替えていきます。化学療法補正表の記載内容を充実させ、精度の高い輸液管理を目指します。
 これまでの対策には予想を超える成果が得られましたが、対策をやりっぱなしでは意味がありません。成果の定着度合いの確認と、さらなる定着化を今年度実施していきます。

 (提出月:2015年5月)

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事例4:電子カルテの導入による医療の質改善および安全性確保

【受審時の機能種別】

 リハビリテーション病院(200床以上) 

【提出部署/委員会】

 病院機能評価委員会

【活動の背景・きっかけ】

 チーム医療を推進するための情報共有と業務の効率化を図る。

【活動の内容・成果】

<電子カルテの導入による医療の質改善>
 平成26年2月に稼動を開始し、患者情報、診療情報、看護、リハビリテーション、医事、その他の多くの情報共有が図られ、チーム医療の質改善と患者の安全性確保、業務の効率化が進められている。

【工夫・アピールポイント】

 当センターおよびグループ施設において、同システムを導入し、事業所間および院内の患者診療等の情報共有と医療安全の向上が図られ、質向上と業務の効率が改善された。

【今後の課題】

(1)電子カルテが蓄積するデータの有効活用
(2)電子カルテの精度向上

 (提出月:2015年5月)

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事例5:ニューロリハビリテーションへの挑戦

【受審時の機能種別】

 リハビリテーション病院(200床以上) 

【提出部署/委員会】

 病院機能評価委員会

【活動の背景・きっかけ】

 最新のリハビリテーション知識や技術を導入し、上下肢の機能改善および生活期リハビリテーション医療の質向上を図る。

【活動の内容・成果】

(1)ボツリヌス療法の実施
 ボツリヌス療法は平成26年4月から平成27年4月現在までに延べ88件施行した。 
(2)TMS治療(反復経頭蓋磁気刺激)の導入
 TMS治療は平成27年3月に機器を導入し、脳卒中後の上肢麻痺改善を目標に16患者(延べ35回)実施した。
(3)ロボットスーツ訓練の実施 
 ロボットスーツHAL®福祉用  単関節HAL(H27年5月22日~)
 脊髄損傷対麻痺患者や脳卒中片麻痺患者等に実施している。

【工夫・アピールポイント】

(1)専門チームの立ち上げ
 多職種による専門スタッフチームを発足させ、入院クリティカルパスを作成するとともに、患者への説明と同意、アウトカム評価、学会発表等を行い医療の質改善を図りつつある。その他、近隣医療機関や地域住民に対し、広報紙、講演会、連携会議等で紹介している。
(2)臨床研究を推奨し、学会発表等を積極的に行っている。

【今後の課題】

(1)リハビリテーション専門医の継続的確保
(2)それぞれの効果の検証
(3)新しいリハビリテーション機器の導入

 (提出月:2015年5月)

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 Practica「知る」Vol.3 では、「医療安全」をテーマに改善事例を紹介します。

 今後、Practicaにて取り上げてほしいテーマや内容がございましたら、評価事業推進部 病院支援課(jushin@jcqhc.or.jp)までご連絡ください。

Practica「知る」Vol.2


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